この記事では、環境計量士試験の過去問について、問題文・解答・解説を掲載しています。
過去問のPDFは、経済産業省などの公式ページで公開されている資料をもとに確認し、学習しやすいように1問ずつ解説しています。
なお、問題文の表記はできるだけ原文に沿っていますが、学習しやすさを重視して一部レイアウトを整えている場合があります。
正確な出題内容を確認したい場合は、公式に公開されているPDFもあわせて確認してください。
環境計量士 第76回 環化 問題9
問 9 ふっ化カルシウム CaF₂(s) から気体のカルシウムイオン Ca²⁺(g) と気体のふっ化物イオン F⁻(g) が生成する反応のエンタルピー変化(格子エンタルピー)ΔH_lattice は、次の熱力学サイクルによって実験的に求められる。
Ca(s) + F₂(g) → Ca(g) + 2F(g)
↓ ↓
CaF₂(s) → Ca²⁺(g) + 2F⁻(g)
ΔH_lattice
1〜5 の中から、ΔH_lattice の値として最も近いものを一つ選べ。ただし、熱力学サイクルにおける各過程のエンタルピー変化 ΔH は下表の値とする。
| 過程 | 反応式 | ΔH/kJ mol⁻¹ |
|---|---|---|
| CaF₂(s)の生成 | Ca(s) + F₂(g) → CaF₂(s) | −1228 |
| Ca(s)の昇華 | Ca(s) → Ca(g) | 178 |
| F₂(g)の解離 | F₂(g) → 2F(g) | 159 |
| Ca(g)の電子放出 | Ca(g) → Ca⁺(g) + e⁻(g) | 590 |
| Ca⁺(g)の電子放出 | Ca⁺(g) → Ca²⁺(g) + e⁻(g) | 1145 |
| F(g)の電子付加 | F(g) + e⁻(g) → F⁻(g) | −328 |
1 188 kJ mol⁻¹
2 516 kJ mol⁻¹
3 1500 kJ mol⁻¹
4 2644 kJ mol⁻¹
5 2972 kJ mol⁻¹
解答
解答:4 2644 kJ mol⁻¹
この問題は、ボルン・ハーバーサイクルを使って、CaF₂(s) を気体イオンに分けるときのエンタルピー変化を求める問題です。
求めたい反応は、
CaF₂(s) → Ca²⁺(g) + 2F⁻(g)
です。
まず、CaF₂(s) を元素からつくる反応は、
Ca(s) + F₂(g) → CaF₂(s)
で、エンタルピー変化は −1228 kJ mol⁻¹ です。
しかし、求めたい反応では CaF₂(s) を分解する向きなので、この反応を逆向きにします。
CaF₂(s) → Ca(s) + F₂(g)
このとき、エンタルピー変化は符号が反対になり、
+1228 kJ mol⁻¹
になります。
次に、Ca(s) を Ca²⁺(g) にするまでを考えます。
Ca(s) → Ca(g)
これは昇華なので、
+178 kJ mol⁻¹
です。
さらに Ca(g) から電子を2個取り去って Ca²⁺(g) にします。
Ca(g) → Ca⁺(g) + e⁻(g)
+590 kJ mol⁻¹
Ca⁺(g) → Ca²⁺(g) + e⁻(g)
+1145 kJ mol⁻¹
よって、カルシウム側の合計は、
178 + 590 + 1145 = 1913 kJ mol⁻¹
です。
次に、F₂(g) を 2F⁻(g) にするまでを考えます。
まず、F₂(g) を F 原子2個に分けます。
F₂(g) → 2F(g)
このエンタルピー変化は、
+159 kJ mol⁻¹
です。
次に、F 原子1個に電子を1個付加して F⁻ にします。
F(g) + e⁻(g) → F⁻(g)
これは −328 kJ mol⁻¹ ですが、F は2個あるので、
2 × (−328) = −656 kJ mol⁻¹
です。
よって、ふっ素側の合計は、
159 − 656 = −497 kJ mol⁻¹
です。
最後にすべて足します。
ΔH_lattice = 1228 + 178 + 590 + 1145 + 159 − 656
= 2644 kJ mol⁻¹
したがって、最も近いものは 4 2644 kJ mol⁻¹ です。
コメント