この記事では、環境計量士試験の過去問について、問題文・解答・解説を掲載しています。
過去問のPDFは、経済産業省などの公式ページで公開されている資料をもとに確認し、学習しやすいように1問ずつ解説しています。
なお、問題文の表記はできるだけ原文に沿っていますが、学習しやすさを重視して一部レイアウトを整えている場合があります。
正確な出題内容を確認したい場合は、公式に公開されているPDFもあわせて確認してください。
環境計量士 第76回 環音 問題4
問4 音の物理量に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
1 瞬時音圧とは、流れのない媒質中のある点で、対象とする瞬間に存在する圧力から静圧を引いた値である。
2 音の速さとは、自由進行音波の位相速度の大きさである。
3 音響インテンシティとは、指定された方向に平行な面を通過する瞬時ポテンシャル音響エネルギー密度をその面積で除した値である。
4 音源の音響パワーとは、ある時間の長さで、指定された周波数帯域の音源が放射する全音響エネルギーをその時間で除した値である。
5 体積速度とは、表面に垂直な粒子速度成分とその微小面積との積の振動面にわたる積分である。
解答
解答は3です。
音響インテンシティとは、音波によって単位時間当たりに単位面積を通過する音響エネルギーを表す量です。単位は $\mathrm{W/m^2}$ です。瞬時音響インテンシティは、その点における瞬時音圧 $p(t)$ と、指定した方向の粒子速度 $u(t)$ との積で表されます。I(t)=p(t)u(t)
一般に「音響インテンシティ」という場合は、この瞬時音響インテンシティを一定時間について平均したものを指します。I=p(t)u(t)
平面進行波の場合は、実効音圧を $p_{\mathrm{rms}}$、媒質の密度を $\rho$、音速を $c$ とすると、次のようにも表せます。I=ρcprms2
選択肢3では、音響インテンシティを「瞬時ポテンシャル音響エネルギー密度をその面積で除した値」としていますが、これは誤りです。音響インテンシティは、音響エネルギー密度を面積で除して求める量ではなく、音圧と粒子速度の積、または単位時間・単位面積当たりに通過する音響エネルギーとして定義されます。また、音響エネルギー密度の単位は $\mathrm{J/m^3}$ であり、これを面積で除しても音響インテンシティの単位である $\mathrm{W/m^2}$ にはなりません。
選択肢1は正しい記述です。瞬時音圧は、媒質中のある点における瞬時の全圧力と、その場所の静圧との差です。音波が存在すると、媒質の圧力は静圧を中心として変動します。この変動部分が音圧です。
選択肢2も正しい記述です。音の速さは、自由に進行する音波の位相が伝わる速度、すなわち位相速度の大きさとして定義されます。空気中の音速は温度などによって変化し、20℃ではおよそ343m/sです。
選択肢4も正しい記述です。音響パワーは、音源が単位時間当たりに放射する全音響エネルギーです。放射された音響エネルギーを $E$、時間を $T$ とすると、音響パワー $W$ は次式で表されます。W=TE
単位はワット(W)です。音響インテンシティが単位面積当たりのエネルギー流を表すのに対し、音響パワーは音源全体が放射するエネルギー量を表します。
選択肢5も正しい記述です。体積速度は、振動面に垂直な粒子速度成分と微小面積との積を、振動面全体について積分したものです。表面に垂直な粒子速度を $u_n$、微小面積を $dS$ とすると、体積速度 $Q$ は次式で表されます。Q=∫SundS
体積速度の単位は $\mathrm{m^3/s}$ であり、振動面によって単位時間当たりに押し出される媒質の体積を表します。

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