この記事では、環境計量士試験の過去問について、問題文・解答・解説を掲載しています。
過去問のPDFは、経済産業省などの公式ページで公開されている資料をもとに確認し、学習しやすいように1問ずつ解説しています。
なお、問題文の表記はできるだけ原文に沿っていますが、学習しやすさを重視して一部レイアウトを整えている場合があります。
正確な出題内容を確認したい場合は、公式に公開されているPDFもあわせて確認してください。
環境計量士 第76回 環濃 問題9
問9 「JIS K 0121 原子吸光分析通則」に規定されている原子吸光分析法に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
1 分析結果の信頼性を確保するためには、使用する装置、測定条件、測定操作などを適正に選択することが望ましい。
2 フレーム及び電気加熱炉中で原子がイオン化することによって、基底状態の原子数が減少し、吸光度が低下することがある。
3 定量方法として検量線法を用いる場合の検量線は、直線を示す範囲での使用が望ましい。
4 標準添加法を用いることで、検量線が直線でない場合やバックグラウンド吸収が大きい場合にも、それらの影響を補正せずに正しい定量値が得られる。
5 ゼーマン分裂補正方式は、磁場によってゼーマン分裂したスペクトル線を、バックグラウンド補正に用いる光学系の一方式である。
解答
解答:4
この問題は、原子吸光分析法の定量方法や干渉、バックグラウンド補正について問う問題です。
誤っているのは 4 です。
選択肢4では、
標準添加法を用いることで、検量線が直線でない場合やバックグラウンド吸収が大きい場合にも、それらの影響を補正せずに正しい定量値が得られる。
とあります。
これは誤りです。
標準添加法は、試料中の共存成分による影響、つまりマトリックス効果を補正するために用いられる定量方法です。
しかし、標準添加法を用いれば何でも補正できるわけではありません。
特に、次のような場合には注意が必要です。
- 検量線が直線でない場合
- バックグラウンド吸収が大きい場合
- 測定信号に大きな干渉がある場合
標準添加法では、基本的に検量線が直線関係を示す範囲で定量することが前提です。
また、バックグラウンド吸収が大きい場合には、ゼーマン分裂補正方式などのバックグラウンド補正を適切に行う必要があります。
そのため、
それらの影響を補正せずに正しい定量値が得られる
という部分が誤りです。
他の選択肢の確認
1は正しいです。
原子吸光分析では、装置、測定条件、測定操作などを適切に選ぶことが、分析結果の信頼性を確保するうえで重要です。
2も正しいです。
フレームや電気加熱炉中で原子がイオン化すると、光を吸収する基底状態の原子数が減少します。その結果、吸光度が低下することがあります。
3も正しいです。
検量線法を用いる場合は、検量線が直線を示す範囲で定量することが望ましいです。直線範囲を外れると、濃度と吸光度の関係がずれて、正確な定量が難しくなります。
5も正しいです。
ゼーマン分裂補正方式は、磁場によってスペクトル線が分裂する現象を利用して、バックグラウンド吸収を補正する方式です。
まとめ
標準添加法は、試料中の共存成分による影響を補正するための方法です。
ただし、検量線が直線でない場合やバックグラウンド吸収が大きい場合でも、補正なしで正しい値が得られるわけではありません。
したがって、誤っている記述は 4 です。

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